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賃金の見直しにより労働条件が変わるとのこと。労働条件の不利益な変更は違法ではないのでしょうか?

不利益変更については労働基準法では明確には書かれておらず、判例にそった考えが行われておりましたが、平成20年4月、新たに施行された「労働契約法」により明確に定められました。

まず、労働条件の変更については「合意」が原則となっています。(労働契約法第8条)そしてそれら労働条件を統一的に設定した就業規則の変更も同じです。  
ただし、この例外として、労働契約法第10条において、「変更後の就業規則を労働者に周知させ」たこと、そして「就業規則の変更が合理的なものであること」を満たした場合には、「労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによる」という法的効果を規定しています。
ここでの「合理的なもの」の考慮要素としては次の5つのものが挙げられています。

1.労働者の受ける不利益の程度   

 これについては個々の労働者の不利益の程度を指しています。具体的に何%等とは決められておらず、ここが大きい場合は他での要素の補強が必要でしょう。

2.労働条件の変更の必要性
 これは使用者側の就業規則による労働条件の変更の必要性を指しています。単に自由競争の時代というような抽象的なものでなく、現実的で具体的なものが必要でしょう。

3.変更後の就業規則の内容の相当性
 これは就業規則の変更の内容全体の相当性を指しています。不公平な適用(特定の人の狙い撃ち)をしないことや移行措置などの有無が考えられます。

4.労働組合等との交渉の状況
  事業場の労働者の意思を代表するものとの交渉の経緯、結果等をいいます。多数労働組合多数従業員の意思尊重は大切です。

5.その他の就業規則の変更にかかる事情
  就業規則の変更にかかる諸事情を総合していいます。なお、判例では「代替措置その他関連する他の労働条件の改善状況」や「他の労働組合又は他の従業員の対応」「同種事項に関するわが国社会における一般的状況等」もみています。

そして、これら諸事情が総合的に考慮されての判断ということになります。 なお、この労働条件の変更(新たな労働条件での労働契約再締結)に応じない職員に対し、解雇の意思表示をする「変更解約告知」というものも、判例では内容により認められているものがあります。(参考:スカンジナビア航空事件 東京地裁H7.4,13)

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