今度、特定派遣を持っている事業所より派遣労働者に来てもらうことになりました。派遣元の責任と派遣先の責任はどうなっているのでしょうか
業として行っている一般労働者派遣にくらべ、自社の社員を派遣する特定派遣では、慣れていらっしゃらないところもあるかと思います。労働者派遣では、雇用関係は派遣元、指揮命令は派遣先となっております(参考)。それぞれの責任と義務をまとめてみましょう。
【派遣元の責任・義務】
1.雇用契約があるのは派遣元ですので、労働基準法、労働安全衛生法などの労働関係法については原則、派遣元が責任を負います。(ただし、現実の労務提供に関係の有る事項は使用者の派遣先責任)給与は、派遣元が支払ますし、社会保険、労働保険も派遣元が加入します。
2.派遣先での適正な終業が確保された労働者派遣契約を派遣先との間に締結します。労働法に違反するような契約は締結してはいけません。
3.派遣労働者からのトラブルに対応するため、派遣元責任者を選任します。派遣元責任者は、派遣労働者の就業条件等の明示、派遣先への派遣労働者の氏名等の通知、派遣元管理台帳の作成、、派遣先との対応、トラブルに対しては派遣先と協力して問題解決につとめなければいけません。
4.派遣労働者の個人情報を適正に管理しなければなりません。
他、詳細は「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」参照
【派遣先事業主の責任・義務】
1.業務上の指揮命令は派遣先が派遣労働者に対し行います。ただし、派遣労働者と派遣元との就業条件内で行うこととなります。この範囲を超えるような場合は、派遣労働者の同意を得て、あらかじめ延長できる日、労働時間を決め、派遣契約書および就業条件明示書に記載する必要があります。
2.労働関係法については原則は派遣先の責任ですが、労働時間、休憩時間、休日(有給は派遣元)、安全衛生面での管理、セクハラの防止等、現実の労務提供に密接な関連の有る事項は派遣先の責任です。ただし、時間が、休日労働を行わせるには、派遣契約書にその記載があること、そして派遣元で36協定の締結・届出が必要となります。
<派遣先が責任を負う事項(労働基準法)>
・3条 均等待遇 (派遣元も)
・5条 強制労働の禁止 (派遣元も)
・7条 公民権利行使の補償
・32条 労働時間
・32条の2-4 変形労働時間
・33条 災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働
・34条 休憩
・35条 休日
・36条 時間外及び休日の労働(締結は派遣元)
・40条 時間外及び休憩の特例
・41条 適用の除外
・60条ー63条 年少者の時間外休日、深夜業、危険有害業務の就業制限、坑内労働の禁止
・64条の2ー4 女性の坑内労働の禁止、妊産婦に係る危険有害業務の就業制限
・66条 妊産婦の時間外労働等
・67条 育児時間
・68条 生理日の終業が著しく困難な女性に対する措置
・69条 徒弟の弊害の排除(派遣元も)
3.派遣労働者からのトラブルに対処するため、派遣先責任者を選任しなければいけません。派遣先責任者は派遣先管理台帳の作成、労働条件の管理、派遣労働者の苦情の処理、派遣元との対応、連絡調整などを行います。トラブルに対しては派遣元と協力して問題解決に努めなければなりません。
4.契約期間中は正当な理由なく派遣契約を解約はできません。派遣先都合で契約解除する場合には、派遣先は関連企業などから次の仕事を紹介するか、どうしても次の仕事が見つからない場合は30日前の解雇予告あるいは解雇予告手当てを支払うことになります。派遣先が派遣元に支払、賃金として派遣元が支払います。
5.派遣先は派遣終業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣をうけてはいけません。その日以降も(受け入れ期間の制限がない業務は3年を超える受け入れがある場合)派遣労働者を使用する場合(受け入れ期間の制限がある業務は派遣労働者の希望があれば)、派遣先は雇用契約の申し込みをしなければなりません。
他、詳細は「派遣先が講ずべき措置に関する指針」参照