給与がいくら以上になると年金はカットされるのでしょうか
在職中に年金をもらっているケース、「在職老齢年金」のご質問ですね。
在職している場合の年金は、もらう年金額と賃金額に応じて一部(あるいは全部)年金がカットされます。カットされる額(支給が停止する額)の計算ですが60歳代前半(60から65歳未満)と65歳代後半(65歳以上)によって計算式が違います。
注意1:下記に書かれている「総報酬月額相当額」とは、標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の総額を12で割った額との合計をいいます。「基本月額」とは老齢厚生年金の月額をいいます。
注意2:下記の28万円、47万円というのは「支給停止調整開始額」「支給停止調整変更額」といい、支給停止調整開始額は名目手取り賃金変動率を基準に、支給停止調整変更額は名目賃金変動率を基準として1万円単位で改定されることがあります(ここでは平成27年度の額です)。
※平成31年度は46万→47万になります(H31年4月1日より)
注意3:ここでいう在職中といいますのは
「厚生年金保険の被保険者となっている」という意味です。厚生年金をかけられていない自営業者の方や非常勤の方などは対象外、つまり、カットされません。
【60歳代前半の在職老齢年金】
1.総報酬月額相当額と基本月額の合計が28万円以下である場合は年金は全額でます。
2.総報酬月額相当額と基本月額の合計が28万円をこえる場合は、総報酬月額相当額の
増加2に対して年金1が支給停止されます
3.総報酬月額相当額が47万円を超える場合はさらに総報酬月額相当額が増加した分だけ
年金が支給停止されます
【上記2.3の支給停止額計算式】
★基本月額28万円以下、総報酬月額相当額47万円以下←一番よくあるケース
(総報酬月額相当額+基本月額ー28万円)×1/2
★基本月額28万円以下・総報酬月額相当額47万円超
(47万円+基本月額ー28万円)×1/2+(総報酬月額相当額ー47万円)
★基本月額28万円超・総報酬月額相当額47万円以下の場合
総報酬月額相当額×1/2
★基本月額28万円超・総報酬月額相当額47万円超の場合
47万円×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)
*加給年金がつく場合はのぞいて計算、一部でも出れば加給年金は全額支給。全額停止なら加給年金も全額停止
【60歳代後半の支給停止額】
1.総報酬月額相当額と基本月額との合計額が47万円を以下である場合は年金は全額支給
されます。
2.総報酬月額相当額と基本月額の合計額が47万円を超える場合は、超える額の2分の1
(月額)が支給停止されます。
*加給年金は60歳代前半と同じ扱い
*老齢基礎年金、経過的加算、繰り下げ支給による加算額については全額支給されます。