改正パートタイム労働法(平成20年4月1日施行)
パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)が改正されました。
ここでいう短時間労働者(パートタイム)とは事業所で使われる名称にかかわらず、 「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」 とされています。なお、パートタイム労働法の対象とならないフルタイムで働く方であって、「パート」などこれに類する名称で呼ばれている方についても、この法律の趣旨を踏まえた雇用管理を行うことが望まれます。
1 労働条件の文書交付・説明義務
■労働基準法の義務に加え、「昇給」「退職手当」「賞与」の有無につき文書の交付等による
明示の義務化→違反の場合は過料(10万円)
■
雇い入れ後、パート労働者から求められたとき、待遇を決定するに当たって考慮した事項*
を説明することが義務化
*説明義務が課せられる事項・・・ 労働条件の明示、就業規則の作成手続
待遇の差別的取扱い、賃金の決定方法、教育訓練、福利厚生施設
正社員への転換を推進するための措置
2 均衡のとれた待遇の確保の促進(働き・貢献に見合った公正な待遇の決定ルールの整備)
■パート労働者の態様に応じ、賃金、教育訓練、福利厚生の取り扱いを次のように定る
【パート労働者の態様】 正社員と比較して、 |
賃 金 |
教育訓練 |
福利厚生 |
|||||
職務関連賃金 ・基本給 ・賞与 ・役付手当等 |
左以外の賃金 ・退職手当 ・家族手当 ・通勤手当等 |
職務遂行に必要な能力を付与するもの | 左以外のもの(ステップアップを目的とするもの) | 健康の保持は業務の円滑な遂行に資する施設の利用 | 左以外のもの(慶弔休暇、社宅の貸与等) | |||
職務 (仕事の内容及び責任) |
人材活用の仕組み (人事異動の有無及び範囲) |
契約期間 | ||||||
[1] 正社員と同視すべきパート |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
||
同じ | 全雇用期間を通じて同じ | 無期or反復更新により無期と同じ | ||||||
[2] 正社員と職務と人材活用の仕組みが同じパート |
□ |
- |
○ |
△ |
○ |
- |
||
同じ | 一定期間は同じ | - | ||||||
[3] 正社員と職務が同じパート |
△ |
- |
○ |
△ |
○ |
- |
||
同じ | 異なる | - | ||||||
[4] 正社員と職務も異なるパート |
△ |
- |
△ |
△ |
○ |
- |
||
異なる | 異なる | - |
(講じる措置)
◎・・・パート労働者であることによる差別的取扱いの禁止
○・・・実施義務・配慮義務
□・・・同一の方法で決定する努力義務
△・・・職務の内容、成果、意欲、能力、経験等を勘案する努力義務
3 通常の労働者への転換の推進
■通常の労働者への転換を推進するための措置*を義務化
*措置の例)
正社員を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパート労働者に周知する。
正社員のポストを社内公募する場合、既に雇っているパート労働者にも応募する機会を与える
パート労働者が正社員へ転換するための試験制度を設けるなど、転換制度を導入する。
4 苦情処理・紛争解決援助
■苦情を自主的に解決するよう努力義務化
■紛争解決援助の仕組みとして、都道府県労働局長による助言,指導,勧告、紛争調整委員会
による調停が設置*
*対象となる苦情・紛争
労働条件の明示、待遇に関する説明、待遇の差別的取扱い、職務遂行に必要な教育訓練
福利厚生施設、正社員への転換を推進するための措置