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残業が100時間を超えているのですが、このような場合、どのような問題が起こるのでしょうか?

36協定違反及び過労死問題が・・・脳・心臓疾患の場合、労災認定で関係してきます。
月100時間を越えるような残業がある場合、そもそも残業時間違反となる場合が多いかと思われます。
現在、労働基準法で労働時間は原則週40時間となっております。これを超えるような場合、36協定といわれる時間外の労使協定がなされていないとできません。 36協定がむすばれ、監督署に提出されてはじめて残業可能となるのですが、残業の限度時間の設定を義務付けられていますのでそれ以上はできません。また法律でもこの限度時間設定の上限は定められております。

一定期間 通常の労働時間制 1年単位の変形労働時間制
週単位 1週間 15時間 14時間
2週間 27時間 25時間
3週間 43時間 40時間
月単位 1ヶ月 45時間 42時間
2ヶ月 81時間 75時間
3ヶ月 120時間 110時間
1年 360時間 320時間

※法内残業時間は含まれない、法定休日労働時間も含めない

ただし、現実的にこの限度時間を越えて臨時的に時間外労働を行わざるを得ない特別な事情が発生するような場合は次の事項をあらかじめ明確に協定しておけば、限度時間を超える一定の時間まで延長することを定めておくことができます。
1.原則の「限度時間」
2.「特別の事情」の具体的内容
3.特別の事情が発生したときの労使間協議などの具体的「手続」
4.特別な事情に対応するための「回数」と「特別延長時間」
※特別が恒常的に行われている企業も多いことからH16年4月より特例を認める期間を通算半年以内に制限される予定です。
5.限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(法定割増賃金率を超える率の努力義務)
 (↑平成22年4月改正追加内容です )

もうひとつが、過労死問題です。
過労死については通達という形で「認定基準」を設けています。
「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準」
(平成13年12月12日付け基発第1063号)より

取り扱う疾病の範囲

認定基準は、業務上の過重負荷によって発症しうる脳・心臓疾患を次の疾患に限定しています。
1.脳血管疾患  脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症
2.虚血性心疾患  心停止(心臓性突然死を含む)、狭心症、心筋梗塞症、解離性大動脈瘤(これ以外の疾病がただちに労災として認められないわけではありませんが、認定基準により判断される疾病としては右のものに限定されています。なお、不整脈による突然死は、心停止に含めて取り扱うこととされています。

労災認定の基本的考え方

業務によって急激な血圧変動や血管収縮が引き起こされ、それによって基礎疾病(私病でもよい)がその自然経過を超えて著しく増悪し、発病に至った場合に、労災と認められます。

認定要件

前記疾病を対象として、次の1から3のいずれかによって、発症前に明らかに過重負荷を受けたという要件を満たさなければなりません。

なお、「過重負荷」とは、医学経験則に照らして、脳・心臓疾患の発症の基礎となる血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させ得ることが客観的に認められる負荷をいいます。


1)発症直前から前日までの間において、発症状態を時間的および場所的に明確にし得る異常な出来事(業務に関連する出来事に限る)に遭遇したこと


2)発症に近接した時期(おおむね1週間)において、特に過重な業務に就労したこと(短期間の過重業務)


3)発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと(長期間の過重業務)


この3はH13年の改正で新たに加えられた部分であり、労働時間について次のような目安が定められています。


a)発症前1カ月間ないし6カ月間にわたって、1カ月あたりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症の関連性が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること。


b)発症前1カ月間におおむね100時間以上、または発症前2カ月ないし6カ月間におおむね80時間以上の時間外労働時間(週40時間を超える労働時間)があれば、業務との関連性が強いと評価する


この労働時間の基準は、あくまでも「目安」とされていることから、前記時間を超えない事案であっても、後記のような、その他の負荷要因を総合判断して、過重性があったと認められることはあります。 御社の場合、100時間を超えているといえばこちらに該当します。

なお、労災認定基準の100時間は週単位の40時間オーバーの時間を見ていき、休日労働を含めますので注意が必要です。

労災とは業務上の疾病ということになるので、業務をさせている使用者は当然、これらを防ぐ義務が課せられています。
「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置等」というのが定められています。

また、監督署側においても監督署の指導内容にもあり、こういったことがなされていない場合、是正勧告が されるようにもなっています。(過重労働による健康傷害防止のための総合対策別紙1)

さらに脳・心臓疾患の発症が長時間労働との関連性が強いとされていることから労働安全衛生法にて時間外・休日労働時間が1ヶ月あたり100時間以上の長時間労働者には医師による面接指導制度が義務づけられています。

この労働安全衛生法の100時間というのは次の計算式によります。

時間外・休日労働時間=*1か月の  -(計算期間1か月間の総暦日数/7)×40

            総労働時間数


*1か月の
総労働時間数 = 所定労働時間数+延長時間数(時間外労働時間数) +休日労働時間数

残業が100時間と一口でいってもカウントの仕方も違えば、いろんな法律規制があり大変です。
そう!長時間労働にはいろんなリスクが伴うわけです。


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